
無線職人のつぶやき
2019/06/21
電波法適応外のラジオ局の存在

自宅から会社がある長崎県佐世保市の佐世保工業団地:ウエストテクノ佐世保まで約16km、公共交通機関での通勤が不便なため、ほとんどの従業員はマイカーで通勤していて、私もその一人である。運転中はお気に入りの音楽を聴いたり、リスニング教材を聴いたりと人それぞれだが、私はAMラジオを聴いて片道40分の道のりを運転している。長崎県内のAM放送局はNHK第一、NHK第二、民放NBCの全3局に加えて、ここ佐世保にはアメリカ海軍基地があるためAFN Saseboという放送局がある。
AFN Saseboは基地在住の関係者とその家族に向けての放送局で、佐世保市内であれば割とどこでも聴くことができる。佐世保以外にもアメリカ軍基地があるところにAFN Misawa、AFN Tokyo、AFN Iwakuni、AFN Okinawaの局がある。各局で制作される番組もあり、基地近隣のイベント情報や交通情報、気象情報を放送したりしているが、放送内容のほとんどは音楽なので通勤の行き帰りに聴いている。
さて、日本国内で電波を発する通信機(放送局)は電波法の適用となるのだが、このAFNの無線局は日米地位協定に基づき電波法の適用対象外で、また、日本の総務大臣又は総合通信局長等からの免許やコールサインを持っていない。
九州テンでは数々の通信機を製造しているが、当然電波法に適合した機器で、それぞれ適用される電波法の規定やその他ARIB(一般社団法人電波産業界:電波利用に関する標準規格策定を行っている業界団体)規格や顧客規格を満足させるように設計を行っている。設計機種が多いため、それぞれに対応した設計をするのが苦労のひとつであるが、設計完了のときは充実感に満たされるのである。
- 佐々木竜也(ささきたつや)
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小学生のときにラジオキットの工作を機に電子機器工作に興味をもち、中学生時代、友達の影響でアマチュア無線のライセンスを取得。大学では無線を専攻しアンテナの小型化の研究に取り組んだ。入社後はタクシーや防災無線、列車無線などの回路設計業務に従事。人生無線一筋。現職はプロダクト事業本部ハードウェアデザイン部のシニアエンジニア。
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