私が新卒で入社した1980年後半、業界ではディジタル技術進歩が盛況で業界各社が、自己技術をアピールするキーワードは”ディジタル技術”でした。それにつられて、私も採用面接で、ディジタル技術を連呼していました。

当時の雰囲気だとディジタル技術者は”かっこいい”、 アナログ技術者は”ダサい”。
ところが、入社して一転。
配属された技術部内では、アナログ or 無線設計技術者 リスペクト状態！？
又、社内広報で募集が掲載されているほど、アナログ技術者が不足していたみたいです。
自己紹介で言っていた「子供のころラジコンが好きだった」という話を嗅ぎつけられて、アナログ家庭用コードレス電話の無線モジュールの開発にぶち込まれました。（分岐点かも・・・）

当時、バブル景気下、電電公社→NTT民営化で、黒電話＆プッシュホンに代わる家庭内電話機市場に、国内主要家電メーカーが相次いで参入。家庭用コードレス電話の市場が盛況でした。
いきなり無線機開発状態で、先輩方の既存回路を参考にしながら（ほとんどコピー）「今やっている作業は一体機器のどの部分なんだろう？」自問自答しながら、自腹で購入した電話機も生贄状態。
忘年会等の酒席で、上司、先輩方からこのプロジェクトの発展として、
「来る一人一台の携帯電話の巨大な市場があるのでいま取得している技術は、重宝される時代がやってくる、今は日々仕事がきついでしょうが、頑張って・・・」
半ば洗脳されるように言われ、ただあわただしく過ごしてきた覚えがあります。
今思えば、私が若造で駆け抜けた時代、コードレス電話は家庭内（民需）で、テレビ・ラジオ以外で最も早く手にした無線機を搭載した情報端末機器ではなかったでしょうか？

それから、30年後、一家一台だった無線通信機器が一人一台に、
更に、現在では IoT化 (Internet of things)により、全ての物に無線機が搭載されるようになりました。（無線機だらけ状態）
最近、既に死滅していますが一家一台の時代生贄にしていた電話機をいじって懐かしんでいます。