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無線職人のつぶやき

初級編

2023/04/30

日本遺産の無線塔

無線コラムアイキャッチ
「日本遺産の無線塔」

九州テン本店(佐世保工場)は長崎県佐世保市にあります。
 
佐世保市は天然の良港であった為、海軍や造船の町として栄え、現在も自衛隊や米軍の基地があります。また、観光地としても208個の島が点在する九十九島(クジュウクシマ)やハウステンボス、うず潮の名所の西海橋等があります。
 
今回はその佐世保湾や高台から見える"巨大な3本の塔"を紹介いたします。
先日、県外出身の同僚と会話をしていた際に、この塔の話になりました。
初めて見る人には異様な物、無線を学んだ人には無線を実感できる物だった様です。私たち地元の人間には見慣れた風景ですが、たしかに近くに行くとその高さと大きさに圧倒されてしまいます。
  
その塔の正体は、針尾無線塔と呼ばれる、旧日本海軍が使用していた無線送信所(2016年に日本遺産に認定)です。旧日本海軍が大正7~11年にかけて総工費155万円(現在のお金で約250億円)で建設、1922年に完成し、実に100年の時を経ています。

高さは1号2号が135m、3号が137m。3本の無線塔が300mの間隔を置いて正三角形に配置されており、現役時には塔のてっぺんに3方向に電波を送る為の線(アンテナ)が張られていました。アンテナはそれぞれ中国大陸、東南アジア、東京方面に向いており、展開している艦船などと長波を使って無線送信していたそうです。
この巨大なコンクリート製の3本の塔の正体はアンテナの支柱だったのです。
 
第二次世界大戦開戦時の「ニイタカヤマノボレ一二〇八」を送信したと言われることがありますが、実際に真珠湾攻撃部隊へ発信したのは千葉県の送信所から送信されており、ここからは他の部隊へ中継送信されたようです。
  
資料によると使用された送信器(大型の発電機)は東芝製で送信周波数は30KHz、出力100kWとなっています。
これが無線機と言うのもビックリ!
   
現在は5Gサービスやスターリンクのような衛星通信サービス等で世界につながっていますが、無線の黎明期から100年でこれだけの進歩をする事を誰が予想できたでしょう。この遺構を見ますと、その様な事を考えてしまうほどインパクトがあります。
  
針尾無線塔には、自動車で佐世保駅から35分、ハウステンボスから15分、西海橋から6分と観光スポットからもアクセスが良いです。
近くに来られた方は是非、立ち寄ってみられてはいかがでしょうか。
 
なお、見学には針尾無線塔保存会への事前連絡が必要となります。以下、URLにある「針尾送信所見学の際の注意事項」をご覧ください。

(佐世保市HP:旧佐世保無線電信所(針尾送信所)施設の見学について)
https://www.city.sasebo.lg.jp/kyouiku/bunzai/kengaku.html
 
 

(参照:東芝エネルギーシステムズ株式会社 「日本初の送信用アレキサンダーソン型高周波発電機」)
https://toshiba-mirai-kagakukan.jp/learn/history/ichigoki/1920alternator/index_j.htm

(参照:ながさき旅ネット <日本遺産>針尾無線塔(旧佐世保無線電信所))
https://www.nagasaki-tabinet.com/blog/165
 
溝口永実(みぞぐちながみつ)
この記事を書いた人の顔写真

工業高校を卒業後、半導体の製造装置の開発に従事。九州テンに入社後は防災ラジオやタクシー無線などの設計を手がけた、電子回路設計のスペシャリスト。開発歴は約40年に及び、現在は営業部門にてテクニカルアドバイザーを務める。釣りが趣味で、毎週どこかの釣り場へ足を運んでいる。

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