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無線職人のつぶやき

初級編

2022/06/14

変わるラジオ放送(AM放送からFM放送へ)

無線コラムアイキャッチ
2019年10月に「変わるラジオ放送(AMラジオ放送が無くなる?)」というタイトルでラジオ放送の話題を取り上げましたが、その後はどうなっているのでしょうか。
総務省や日本民間放送連盟の資料によれば、AM放送からFM放送への転換」が具体化していくようです。
 
・転換に向けて何が行われるのでしょうか。
転換に必要な、「制度改正」や「課題検討/実証実験/設備整備」が行われます。
  1. 制度改正

    実証実験やAM放送からFM放送への転換を行う為に必要な制度改正(電波法や関連法令等)が行われます。
    (現在の制度では「AM放送局がAM放送とFM放送を併用するFM補完放送」は可能ですが「AM放送局がAM放送をやめてFM放送だけに転換」はできません。)
     
  2. 課題検討/実証実験/設備整備
    AM放送を停波した場合の課題の事前検討や実際に停波して状況を確認する実証実験が行われ、必要な設備が整備されます。
    (FM放送に転換する事で、世帯・エリアのカバー率が極端に悪化しない事がポイントになると思われ、必要であれば中継局の追加設置等が行われます。)
 
・どのようなスケジュールで進むのでしょうか。
 無線局の再免許(5年毎)を区切りとしたロードマップが計画されています。
  1. 2023年:秋ごろに実証実験の開始が予定されています。
  2. 2028年:国内の民間AM放送局の多くが2028年の転換を目指しています。
 
・NHK(日本放送協会)のラジオ放送局はどうなるのでしょうか。
  1. 現在の3波(第一放送・第二放送とFM)から2波(AM放送とFM放送それぞれ1波)への整理・削減が検討されています。
  2. 大規模災害対応等を考慮するとNHKのAM 放送が全てFM放送に転換する事はないと思われます。
 
・広がるFMラジオの利用
V-Low帯域(地上テレビ放送のデジタル化により利用が可能になった95MHz~108MHzの周波数帯)を活用した「防災行政無線と連動するFM防災情報システム」・「FM路側通信システム」などのFM放送技術を活用した新しいサービスも検討されているようです。
開始(1925年)から100年を迎えるラジオ放送は今後も重要な情報伝達の手段であり続けると思われます。
 
福岡俊幸(ふくおかとしゆき)
この記事を書いた人の顔写真

中学生の時ラジオから聞こえる海外の放送をきっかけに電子機器や無線に興味を持ち、コンピュータや真空管アンプ、オーディオなどのものづくりに没頭する。九州テンに入社後は無線を利用した水防システム(雨量や水位の観測・防災無線など)の設計や運用支援業務に25年間従事。現在は定年退職を機に情報システム部門に転籍し、これまでの経験をもとに社内システムの支援業務を行っている。現在も真空管を使ったアンプやラジオ作りは趣味のひとつ。

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