無線職人のつぶやき
2019/03/13
無線は難しい??
無線はソフト/ディジタル/アナログに比べて難しい??
ソフト1年、ディジタル3年、アナログ5年、無線10年?? 一人前になるまでの時間
無線と言っても、電気の理論から外れているわけではありません。オームの法則/キルヒホッフの法則/クーロンの法則、抵抗、コンデンサ、コイル・・・・全て同じです。
ここにある機器の回路図があるとします。製品としたとき、アナログならば動くでしょうが、無線では回路図通りに作っても動かない事が多々あります。(だれが作るか?にもよりますが・・)
実際の製品(部品)には寄生素子と呼ばれる、回路図には書かれていない部品が存在するからです。コンデンサには、抵抗/コイルが寄生しますし、コイルには抵抗/コンデンサが寄生します。パターンにも、抵抗/コンデンサ/コイルが寄生します。
これは、向かいあえばコンデンサ、長さがあればコイル及び抵抗、部品をつなげるパターンも同様に、抵抗/コンデンサ/コイルが発生します。
使用している周波数が低い時には、これらの寄生素子はほとんど影響を与えませんが、無線の周波数では、これらの寄生部品が大きな影響を与えます。この理由により、回路図通りに製品を作っても動かない事が多々発生します。
ただ、製品がしゃべれれば、”私は、作られた通りに動作していますよ・・、あなただけに意地悪しているわけではありません。“と言って来るかもしれません。
これらの”回路図に見えない部品:寄生素子)にどの程度気づけるか、どの程度気にするか、またその影響を抑えることが出来るかが、無線回路設計のノウハウとなります。
近年、部品が小さくなり表面実装化される事により寄生素子の影響は緩和されましたが、逆に使用される周波数が高くなった為、あいかわらず”寄生素子”は影響を与えています。
昔、無線の世界で、”ゴットハンド”と呼ばれる職人がいました。
動作が不安定な無線回路に対して、手をかざしたり、近づけたり、指で触ったり・・・・(呪術まがいですが)、結果ここがおかしい、コンデンサを付けろ、ここにダンピング等の御神託を下します。たいていはそれで動作が正常となります。
手をかざしたり、指を近づけると容量が増加、触ると容量増加/抵抗増加、回路のどこを触るかで状態変化を見て、判断していた様です。
無線屋としては、無線周波数/強弱が“色と明暗で見える目”が欲しいですね。
- 岩本清(いわもときよし)
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小学6年の時アマチュア無線の資格を取得した。関東の部品メーカーでTVチューナーの開発を手掛けていたが、地元で仕事がしたいと思い九州テンに入社。以来、防災無線などの社会インフラ系の機器の設計業務に従事し、無線のスペシャリストとして後進の育成にも力を注いだ。2022年7月に定年退職。
(2019年3月から2021年9月まで執筆頂きました。ありがとうございました。)
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