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無線職人のつぶやき

初級編

2021/04/15

電波を利用した通信システムには「回線設計」が欠かせません

無線コラムアイキャッチ
電波を利用した通信システムを構築する場合には、電波法等に定められた基準に従って、どのような仕様の無線機やアンテナ等を使用するかを決める必要があります。
この機器仕様を検討する事は「回線設計」と呼ばれ、いろいろな手法やノウハウがあるようです。

「回線設計」の基本は、「希望する地点間やエリアで電波が届くかどうか。」ですが、「単純に信号が聞こえるだけでは無く、電波法等に定められた基準を満足するかどうか。」で判断します。
「回線設計」に影響を与える要素には、
  1. 「使用する電波の周波数、電波形式、空中線電力、アンテナ等」
  2. 「送受信地点間の距離、地形(障害物)」
  3. 「送受信地点の雑音、混信
  4. 「要求される回線品質」(電界強度S/N比エラ-レート等)
 などがあります。

屋外で使用されるシステムの場合には、次の手順で検討/設計される事が多いようです。
  1. 「条件の確認」:システムの目的に応じた「使用可能な周波数帯」と「要求される回線品質」を確認します。
  2. 「机上設計」:地形図上で送受信地点間の距離や地形を読みとり、損失等を計算し回線が構成可能かどうかを検討します。
  3.  「現地調査」:「机上設計」の結果をもとに、現地で実際に電波を送受信して損失/雑音/混信等の状況を確認します。
  4. 「詳細設計」:「机上設計」と「現地調査」の結果をもとに、実用時の回線構成が可能となる機器仕様を検討します。
今では、パソコンを利用したシミュレーターや自動測定が普及し省力化が進んでいますが、以前は地形データ・測定データの読取りや電卓での計算等の手作業の繰り返しでとても大変な作業でした。
また、「現地調査」で「机上設計」に近い結果が得られれば良いのですが、良い結果が得られず「机上設計」と「現地調査」を何度も繰り返す事もあります。

皆さんが、日々利用されている「必要な場所で」・「必要な時に」・「つながる」を実現する電波を利用した通信システムは色々な技術で支えられている事を知っていただければと思います。
 
 
福岡俊幸(ふくおかとしゆき)
この記事を書いた人の顔写真

中学生の時ラジオから聞こえる海外の放送をきっかけに電子機器や無線に興味を持ち、コンピュータや真空管アンプ、オーディオなどのものづくりに没頭する。九州テンに入社後は無線を利用した水防システム(雨量や水位の観測・防災無線など)の設計や運用支援業務に25年間従事。現在は定年退職を機に情報システム部門に転籍し、これまでの経験をもとに社内システムの支援業務を行っている。現在も真空管を使ったアンプやラジオ作りは趣味のひとつ。

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