
無線職人のつぶやき
2019/10/31
変わるラジオ放送(AMラジオ放送が無くなる?)

日本のラジオ放送は、AM放送が1925年(NHK)、FM放送が1969年(NHK-FM)に開始され、誰でも簡単に使えるメディアとして娯楽や情報入手に活用されています。
また、ラジオ受信機と電池があれば聴けるので、災害等による停電時にとても有用なことは皆さんもご存じのとおりです。
ところが最近、「AMラジオ放送廃止」という新聞記事を見かけたので調べてみました。
・AM放送とFM放送の比較
AM放送 | FM放送 | |
使用する周波数 | 526.5~1606.5kkHz(中波) | 76.1~94.9MHz(超短波) |
聴こえる範囲 | 広い | 中程度 |
音質 | AM放送に比べて良い | |
送信用設備 | 特にアンテナが大きい |
・ラジオ放送の聴き方
10年くらい前までは、ラジオ放送は受信機で聴くものでしたがインターネットの普及でパソコンやスマートフォンを使った「インターネットラジオ」でも聴けるようになりました。
(海外の放送も聴けるようになりました。)
また、FM補完放送(ワイドFM)といって、AMラジオの放送エリアで難聴対策や災害対策のために、FM 放送用の電波でAM ラジオの番組を放送する放送局も増えてきました。
(AMラジオ局の番組がAM放送とFM放送の両方で送信されます。)
・本当にAM放送が廃止されるのでしょうか
日本民間放送連盟は、大規模なAM放送用の設備更新やFM補完放送用の設備とAM放送用の設備の両方を維持していくことが困難になって来ているので、既存のAM放送をFM放送に転換できるように総務省に制度改正を要望していました。(2019年3月)
「AM放送をFM放送に転換」したらAM放送で聴けなくなるので「廃止」と書かれたかもしれません。
詳細は総務省の検討結果を待たなければわかりませんが、制度的(法制度)にAM放送が出来なくなるわけではなく、既存のAMラジオ局がAM放送を継続するかFM放送に転換するかを決めることができるようになるのではないでしょうか。
・どうすればよいのでしょうか。
数年先になるとは思いますが、転換が決まった場合には、転換後の周波数がお手持ちの受信機で受信できるかを確認する必要があります。(受信機によってはワイドFMの周波数範囲に対応していないためです。)
(2022年6月更新)
続編のコラムを掲載しております。こちらもご覧ください。
変わるラジオ放送(AM放送からFM放送へ)
- 福岡俊幸(ふくおかとしゆき)
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中学生の時ラジオから聞こえる海外の放送をきっかけに電子機器や無線に興味を持ち、コンピュータや真空管アンプ、オーディオなどのものづくりに没頭する。九州テンに入社後は無線を利用した水防システム(雨量や水位の観測・防災無線など)の設計や運用支援業務に25年間従事。現在は定年退職を機に情報システム部門に転籍し、これまでの経験をもとに社内システムの支援業務を行っている。現在も真空管を使ったアンプやラジオ作りは趣味のひとつ。
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