無線職人のつぶやき
2019/01/07
無線の帯域と、IoT-LPWA向け無線機について
最近、スマホをキャリアから通信設備を借りサービスを提供する事業者「MVNO:格安SIM」に切り替えて使っています。
月毎の契約指定容量を超過すると“帯域”制限が掛かりますと案内資料に記載されていました、ではこの帯域とは何でしょう?
まず、MVNO事業者は、より多くの加入者数を確保する為に、契約容量を超えるヘビーユーザーに対して帯域幅を狭く( 通信速度を遅く)し使用を制限します。
一度だけ体感したことがありますが、ストレスを感じました。
ところで、帯域を狭くしユーザー数を増やすこととは別に、大きく無線機に影響することがあります。それは、より遠方への通信が可能となることです。
無線通信エリアは、信号帯域に反比例。(無線通信の大原則)
極端な例でいえば、今から約40年前に宇宙へ旅立ったアメリカNASAの土星探査衛星ボイジャーは、極狭帯域無線機を搭載し、地球との通信速度は16~160bpsで、一枚の画像伝送するのに1日以上要していた…。
では、帯域を狭くしないで遠方通信ができる無線通信技術はないのでしょうか?
ここで、スペクトラム拡散変調方式と呼ばれる変復調技術を紹介します。
GPSや、携帯FOMAで一部採用され一時大きく脚光を浴びましたが、OFDM変復調技術の出現により一時期注目度は落ちましたが、現在LPWA(Low Power Wide Area) LoRaで再び注目されつつあります。
LoRaは、CSS(Chirp Spread Spectrum)と呼ばれる独自のスペクトラム拡散変調を採用しており、通常の市街値通信距離を大きく上回る通信エリア(最大で10km)も可能といわれ、低消費電力で安価な専用無線チップと合わさって、極めてローコストな、無線WAN(Wide Area Network)が構築できIoTを推進する起爆剤となるのではないか?とも言われています。
昨今の無線機は携帯、スマホの影響で広帯域高速大容量通信の進化が注目されてきました。
2020年サービスインする予定の5G(第五世代移動通信網)でので、4K画像の無線通信も可能といわれています。
しかし、低速だと使えない無線通信もありますが、低速でも全然問題ないIoT向けの無線通信の世界もビジネスチャンスありと考えています。
- 深川秀午(ふかがわしゅうご)
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幼少の頃からラジコンに熱中し、なぜ線がないのに動くのか不思議で無線の仕組み、特にラジオコントロール部分に興味を持った。大学卒業後は回路設計技術者として情報端末用の無線機(主に携帯電話に関する無線)の開発に従事。開発歴は30年以上におよぶ。
現職はアドバンストテクノロジー室のマイスター。
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